ランチタイムのオフィス街、あるいは都心のホテルラウンジ。こうした場所で最近よく目にするのが、と言うより気になるのが、若いサラリーマン諸君のスーツの着こなしです。若いうちから高級な仕立てのスーツを着ろとは言いませんが、それにしてもオフィシャルだかカジュアルだかよく判らないペナペナのスーツを着ている若者が多い。しかもその肩のあたりにくしゃっとシワの入っている人が目立つのですな。これはどうも、ビジネスバッグの選び方にあるようなのです。
安物の生地で仕立ても雑な、リクルートスーツに毛の生えたようなビジネススーツの肩が、どうしてくしゃくしゃになってしまうのか。あらためて朝夕の通勤風景を見てみると、ショルダーバッグやデイパックをビジネスバッグとして利用している若者が圧倒的に多いのです。まさにプライベートとオフィシャルのはきちがえ。会社の上司や、物の解った「大人」の取引先の人はどう思うでしょう。「学生気分が抜けていないな…これで仕事を任せられるのだろうか…」なんてことにもなりかねません。
ビジネスバッグというものは、決して見てくれだけのこけおどしでなく、仕事を確実に、効率的に進めていくためのノウハウが注ぎ込まれた「実用品」であり、出来る男の「武装」の一種であるべきなのです。古くは大工さんの道具箱、髪結いさんの岡持ち、現代ならスタイリストさんのデカバッグ、バイク便のメッセンジャーバッグ、などなど。そうしたプロフェッショナル達の実用品に並ぶ位置に、ビジネスバッグは在るべきなのです。そしてさらには、出来る大人のダンディズムも盛り込めれば言う事なしでしょう。
ビジネスバッグにこだわる、ということはつまりそれだけ、自分の仕事にこだわるということでもあります。仕事に誇りと情熱を持ち、日々の戦いを着実にこなしていく、そんなビジネスマンの持ち物を、お手軽なショルダーバッグやデイパックにまかせてよいわけがありませんね。しかも、ビジネスマンにとっては身だしなみも大切。せっかくスーツをびしっと決めているのなら、小物にもこだわりを持ちたいもの。ネクタイやベルトや靴に気を使う人も、案外ビジネスバッグにまで気がまわっていないというのが現実です。
こう考えてくると、単に便利だから、楽だからというだけで、安易にデイパックやショルダーバッグに走ってしまうのはいかがなものか、ということがお解りいただけると思います。いやしくもビジネスマンたるもの、その戦闘服であるビジネススーツに合わせるべき小物も、鎧具足の類と認識すべきなのです。出来る男なら当然、鞄もまた、専用のビジネスバッグを持つべきなのです。
ビジネスバッグの参考情報 → ディテールズ